こんにちは!
森の美術館 スタッフの溝上です。
今年で7回目を迎える「森の美術館」は、
2024年10月19日(土)10:00 ~ 15:00
福岡県 福津市 宮司浜4-4の松林 にて開催予定です。
現在、作品展示や音楽出演に加えて、イベントのサポートをしてくださるボランティアスタッフを募集しています。
今回は、森の美術館に参加していただく出展者の魅力に迫るインタビュー企画の第3弾。
第3弾は、福岡県宇美町にある『 工房かたつむり 』で行われている陶芸くらぶの皆様です。
工房かたつむり
福岡県宇美町にある 陶芸家 イリベナオヒサさんの工房。
作品制作を行いながら陶芸くらぶや体験教室をして作品づくりをする人たちの場として提供している。
陶芸くらぶは、2013年から始め、「明るく、楽しく」をモットーに、1人1人のペースと目標を持って作品づくりをしている。
<SNS>
Instagram : @naohisa.iribe
工房かたつむりの代表、イリベナオヒサさんは、3年前から森の美術館に参加していただいています。
今年は、陶芸くらぶに通われている皆さんと一緒に参加していただけるとのことで(5名で参加予定)、私たちは陶芸くらぶが行われている工房にお伺いし、イリベさんとくらぶに通われているななさん、YUKIKOさんの3人に、陶芸を始めたきっかけや作品づくりについて、また森の美術館のことについてお聞きしてきました。
イリベナオヒサ
陶芸家
「記憶をかたちにする事」をテーマとして作品製作を行っている。
2013年から、「工房かたつむり」にて陶芸くらぶを運営している。
<SNS>
Instagram : @naohisa.iribe
工房かたつむりが誕生するまで
陶芸を始めたきっかけを教えてください。
20代後半の頃、高校時代の同級生が陶芸教室を開いており、「ちょっと1回やってみようかな」という気持ちで自分も教室に通い始めたのがきっかけです。それ以来、継続的に陶芸を続けています。
なぜ陶芸くらぶを始められたのですか?
元々、物流業の美術輸送会社で会社員として働いており、陶芸は趣味として楽しんでいました。仕事では美術館の展覧会の準備や作品の運搬を行い、アート作品に触れる機会が多くありました。その中で、自分でもっと作品を作りたいと思うようになりましたが、仕事が忙しくなり、陶芸に費やす時間がほぼなくなってしまいました。
それでも、自分の工房を持ちたいという想いはずっとありました。会社に相談した結果、辞めることを決意し、すぐにこの工房を始めました。「工房かたつむり」で陶芸くらぶを始めてから、ようやく11年が経ちました。
一番の思いは、遠慮せず自分の作りたいものを作ってほしい
陶芸くらぶで一番大事にしていることは何ですか?
陶芸をやっていると、できること・できないことが当然あります。できないことは自分の中で受け止めていかなければなりませんが、それでも、自分が作りたいものを何とかしてでも時間をかけて作りたいという思いがあります。
だからこそ、陶芸くらぶの皆さんにも同じように、自分がやりたいことをやってほしい、作りたいものを作ってほしいと願っています。生徒の皆さんが少しでもやりたいことを実現し、理想に近づけるように、そのお手伝いができればという気持ちでやっています。
「記憶を形に」が作品作りのテーマ
イリベさんの上靴や鍵盤ハーモニカなどの作品のアイデアは、どのように生まれるのでしょうか?
最初に作ったのは鉛筆削りです。
陶芸=器というイメージがあるかもしれませんが、会社を辞めてまで陶芸をやっているので、せっかくなら、できるだけそれ以外のものを作ろうと思って始めました。その時は、具体的にこういうものを作りたいというアイデアはありませんでした。たまたま、鉛筆削りや上靴を作ってみたら面白いと感じた事からそれが自分の大切な作風のひとつになりました。
アイデアが浮かぶように、何か気を付けていることはありますか?
極力、普通の日常を過ごすようにしています。器を作っている方は、食卓のことや誰かにごちそうする場面など、いろいろ考えながら作っていることが多いと思いますが、私は普通の日常を過ごす中で目に入ったものを作るようにしています。写真などは見ずに、頭の中のイメージだけで作ることが多いです。
例えば、鍵盤ハーモニカを作る際には、自分のイメージと本物が正確に一致しているかどうかはわからないまま作っています。写真を見ながら制作すると、どうしても似すぎてしまいますが、本物通りに作ることが必ずしも必要だとは思っていません。少々、自分のイメージと本物の形が異なっていても、自分の記憶の中で形になれば良いと考えています。
森の美術館に参加してみて
イリベさんは3年前から参加してくださっていますが、参加しようと思ったきっかけは何ですか?
長さん(森の美術館の主催者)の熱烈なオファーです。
森の美術館の活動内容やコンセプトを聞いて、やったほうがいいなと思ったからです。
実際参加してみてどうでしたか?
初めて参加したときは知らない作家さんばかりでしたが、参加していくうちに顔なじみになり、そういう方々と知り合えたのが一番大きな出来事でした。今でも関係が続いていて、他の展示会を一緒に開催したりすることもあります。横の繋がりができたことが嬉しかったです。
また、屋外展示を行うことで、皆さん心得ていると思いますが、会場を汚さないようにすることや、木を傷つけないようにすることなど、当たり前のことですが、やっぱり守らないといけないと再認識することができました。
そうですね、参加者の方々がルールを守ってくださるおかげで、森の美術館を毎年開催することができています。ありがとうございます。
最後に、来場者の皆様へのメッセージをお願いします!
やっぱり、参加される皆さんは、自分の作品を立ち止まって見てほしいと思いながら制作していると思うんです。だからこそ、より多くの人に立ち止まって見てもらえたらいいなと思っています。
美術部という偶然の選択が開いた新しい世界
陶芸を始めたきっかけは何ですか?
大学入学時、運動が苦手だったため、運動以外の部活を探していたところ、美術部があったので入部しました。美術には特別な興味があったわけではありませんでしたが、美術部なら続けられそうだと感じたからです。
そこで初めて陶芸に触れ、大学時代を通じて陶芸を続けることになりました。現在も陶芸を続けており、15年目を迎えています。
「工房かたつむり」と出会って再び創作の道へ
「工房かたつむり」とはどう出会ったのですか?
就職してからは忙しくて陶芸をする時間がなかなか取れなかったのですが、転職して少し時間ができたときに大学のOB展示会で、陶芸を再開してみようと思いました。そんな時に、たまたまこの陶芸教室の前を通りかかったのです。
初対面でも、先生はたくさん私の話を聞いてくださり、話が弾んでかなり長居してしまいました(笑)「フィーリングで、ここしかない!」と感じ、その日に教室に通うことを決め、それから7年間通っています。
工房かたつむりは、自分を受け入れてくれる場所です。
幅広い作品で陶芸の可能性を伝えたい
なぜ「歯」を作ろうと思ったのですか?
何もアイデアが浮かばないときに、粘土をひたすら握っていました。すると、偶然に歯の形ができて、それを焼いてみたら、「可愛いね、いいね」と周りに言ってもらえて、そこからずっと歯を作り続けています。
すごいですね。なかなかそんな出来事は起こらないですよね。
作品を作る上で、大切にしていることはありますか?
基本的に歯を作っていますが、歯以外のもので様々な方に興味を持って見てもらいたいので、幅広く作品を制作するようにしています。最初に歯の作品に興味を持ってもらい、コップや皿など、陶芸は食器を作ることだけでなく、様々なことができるんだということを伝えたいと思いながら制作しています。
作品作りで一番楽しい瞬間はなんですか?
焼きあがったときに自分の想像通りいったときです。釉薬がツルツルしたり、うまいことつかずに垂れていたりして、想像とちょっと違うな?と思うこともたまにあるんです。だから、想像通りうまく焼きあがったときは楽しくて、心の中でガッツポーズしてます(笑)
森の美術館に参加してみて
3年前に、初めて参加してみてどうでしたか?
ただ並べるだけの展示がほとんどで、それまで展示の仕方について深く考えたことはありませんでした。しかし、会場との調和や見せ方、バランスなど、様々なことを考えるようになりました。これによって、自分の課題を見つけました。
陶芸に限らず、屋外で作品を展示する機会はなかなかないので、広々とした会場を使えることや、様々なジャンルの作品が展示されて見れることは、とても良い経験です。多くの人々や作品と触れ合えるのは、とても素晴らしいことだと思います。
最後にご来場の方へのメッセージお願いします!
作品を通して、多くの人に陶芸ってこんなに幅広いんだなと、陶芸の魅力を知ってもらえるように色々な種類の作品を制作しています。ご来場お待ちしています!
子供の陶芸体験が導いた新しい趣味
なぜ陶芸を始められたのですか?
陶芸には、昔から興味がありました。でも、始めるきっかけがなかなかなくて。そんな時に、先生の同級生の方の子供と自分の子供が知り合いで、その方同級生の方に、「陶芸をやっている人がいるよ」と教えてもらいました。それを聞いて、興味が湧いたので、一度体験してみようと思いました。
ちょうどその頃、子供のボーイスカウト活動で陶芸をする企画があり、その時に始めて「工房かたつむり」にやってきて、初めて陶芸を体験しました。実際にやってみると、自分の手で形を変えていく感触が面白く、一気に夢中になりました。
陶芸をずっと続けてこれたのはなぜですか?
なかなか時間が取れず、2年ほど通えない時期もありましたが、先生が「好きな時に来ていいよ」とおっしゃってくださり、特に決まった時間がなく、気軽に通える雰囲気がありました。そのため、無理なく続けられる環境が整っており、私も陶芸を続けることが出来ています。
陶芸で表現する日常の楽しみ
どんな作品を作られているのですか?
お酒が好きなので、ぐい飲み(おちょこ)をメインに、色んな器を作っています。自分で作ったぐい飲みの作品は、自宅でお酒を飲んだりして楽しんでいます。
また、アクセサリーも作っていて、自分で身に着けて楽しんでいます。誰かから「可愛い」と言ってもらえた時は、とても嬉しいです。
森の美術館について
どんな作品を展示する予定ですか?
ウニの殻のようなイメージの植木鉢や箸置きを作っています。植木鉢は、小さいグリーンを飾ってもらえたらなって。
昨年、来場者として来ていただいて、今年は作家として参加していただけるとのことですが、どんなお気持ちですか?
絶対楽しい1日になるだろうなと思っています!
先生から、「今年は陶芸くらぶのみんなで参加しませんか?」とお声がけいただいたときは、「ぜひとも!」と感じました。屋外での展示は、空間が無限に広がり、自然の中で展示できる貴重な機会なので、とても楽しみです。
参加経験のある他の作家さんからは、森の美術館は、1年に1度の何かのお祭りのようなイベントだと伺っているので、お客様や他の作家さんとの交流をたくさん楽しみたいと思っています。
最後にご来場の方へのメッセージお願いします!
作品展示と聞くと、敷居が高いとか難しそうに感じる方もいるかもしれません。しかし、あまり難しいことを考えずに、ただ作品を見て、その場を楽しんでもらえたら嬉しいです。
取材を終えて
今回の取材は約2時間でしたが、その短い時間の中でも、陶芸くらぶの皆さんから慕われるイリベさんの温かい人柄が強く伝わってきました。
工房かたつむりの雰囲気は、イリベさんの人柄がそのまま表れたようなとても温かい場所で、陶芸くらぶの皆さん一人一人の個性を尊重しながら丁寧にサポートする姿が印象的でした。個性を尊重してくれるからこそ、イリベさんの作品をはじめ、陶芸くらぶの皆さんの作品も唯一無二の作品ばかりでとても面白く、見ていてワクワクし、「なぜこれを作ったんだろう?」と興味をそそられるものばかりでした。
イリベさんは、陶芸くらぶの皆さんの自由な発想を後押しする伴走者のような存在だと感じました。
今後も、ここでどんな作品が生まれるのかとても楽しみです。
森の美術館での展示も楽しみにしています!
イリベさん、ななさん、YUKIKOさん、
お忙しい中、貴重なお時間を本当にありがとうございました!
工房かたつむり
福岡県宇美町にある 陶芸家 イリベナオヒサさんの工房。
作品制作を行いながら、陶芸くらぶや体験教室をして作品づくりをする人たちの場として提供している。
陶芸くらぶは、2013年から始め、「明るく、楽しく」をモットーに、1人1人のペースと目標を持って作品づくりをしている。
<SNS>
Instagram : @naohisa.iribe
森の美術館では、今年の出展作家やサポートスタッフを募集しております。
皆様のご参加をお待ちしています。
<取材・文章・撮影> いとぐち株式会社